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福岡高等裁判所 昭和41年(行コ)9号 判決 1966年12月19日

控訴人(原告) 前田幸盛

被控訴人(被告) 山鹿税務署長

訴訟代理人 高橋正 外二名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は

「原判決を取消す。

被控訴人は控訴人に対し

(1)  昭和四〇年一〇月二六日付の、控訴人の昭和三五年度分の所得税を六九万八、一三〇円、無申告加算税を一七万四、〇〇〇円となした再更正決定中、所得税の三二万九、三一七円を除く部分および右無申告加算税全額

(2)  同年二月二三日付の、控訴人の昭和三六年度分の所得税更正決定中、無申告加算税を三八万九、〇〇〇円とした部分

(3)  同日付の、控訴人の昭和三七年度分の所得税を一四六万五、七四〇円、無申告加算税を一四万六、五〇〇円となした更正決定(当初所得税一五三万七、一五〇円、無申告加算税一五万三、七〇〇円であつたところ、昭和四〇年一〇月一四日熊本国税局長の裁決により変更されたもの)の中、所得税の一七万三、七二〇円を除く部分および右無申告加算税全額

(4)  同日付の、控訴人の昭和三八年度分の所得税を一二三万九、〇四〇円、過少申告加算税を六万一、九〇〇円となした更正決定(当初所得税一三一万四、四二〇円、過少申告加算税六万五、七〇〇円であつたところ、前記裁決によつて、変更されたもの)の中所得税の一〇万九、〇〇〇円を除く部分および右過少申告加算税全額に対する各賦課処分は、いずれも無効であることを確認する。

訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」

との判決を求め、被控訴指定代理人は主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の事実上の主張、証拠の関係は、原判決事実摘示のとおりであるから、これをここに引用する。

理由

一  当裁判所の判断によつても、控訴人の本訴請求は失当として棄却すべきものと考える。その理由は左記のとおり一部理由を付加するほか、原判決理由記載と同一であるから、その全部をここに引用する。

二  控訴人は、被控訴人が課税した利息金はいずれも利息制限法所定の利率を超過し、法的に収受できないものであるから、これに対する課税は不適法である、と抗争するが、所得税法上の課税物件である所得とは、その発生原因が法的に許容されたものであるか、否かを問わず、いやしくも税法その他法令によつて非課税とされていないもので、しかも、経済的、実質上の見地から把握して収支計算上利得を構成するものであれば足りるものと解するのが相当である。よつて、かかる観点ならびに前記引用にかかる原判決の説示に照らせば、控訴人の右主張が採用できないことは自から明らかである。

三  してみれば、原判決は相当であつて、本件控訴は理由がない。よつてこれを棄却し、控訴費用の負担について民事訴訟法第九五条本文、第八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 川井立夫 木本楢雄 神田正夫)

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